iPadのNFC対応機種は？非搭載の真実と代替案を解説

マイナンバーカードを使った確定申告や、かざすだけのスマートな情報連携。あなたの持っているそのiPadで、もっと便利な生活が送れたら、と考えたことはありませんか。iPhoneでは当たり前に使っているNFC機能。その便利さを知っているからこそ、iPadのNFC対応機種はどれだろう、と探している方も多いはずです。しかし、いくら探しても、iPadのNFC設定が見つからない、リーダーはどこにあるのか分からない、と途方に暮れてしまう。

実は、そこには多くの人が知らない、iPadの仕様に関する重要な真実が隠されています。この記事では、あなたのその疑問に、真正面からお答えします。なぜiPadにはNFC機能がないのか。Apple Pay対応機種のリストにiPadの名前があるのに、お店でかざして支払いができないのはなぜか。そして、iPadでNFCタグを読み取るための、唯一の解決策とは。

この記事を読み終える頃には、iPadとNFCに関する全ての謎が解け、あなたのiPad活用の可能性を、さらに大きく広げるための具体的な次の一歩が見えているはずです。

なぜiPadにNFCはない？多くの人が知らない仕様の真実

iPadでNFCを使いたい、そう考えて情報を集めていると、必ず大きな壁にぶつかります。設定画面を探しても、本体のどこを探しても、NFCに関する項目や場所が見当たらないのです。それは当然のことかもしれません。なぜなら、そこにはApple製品の仕様に関する、多くの人が見落としがちな、しかし決定的な事実があるからです。

この章では、なぜあなたのiPadでNFCが使えないのか、その根本的な理由を解き明かします。Apple Payに関するよくある誤解や、まことしやかに語られる噂の真相まで。この事実を知ることが、遠回りをせず、あなたの本当の目的を達成するための最短ルートとなるでしょう。

1. 結論から言うと、NFCを搭載しているiPadはありません

様々な情報を探しまわって、この記事にたどり着いたあなたに、まずは結論から明確にお伝えします。2025年8月現在、Appleがこれまでに発売した、全てのiPadモデル（iPad Pro、iPad Air、iPad mini、無印iPadの全世代）において、NFC機能は搭載されていません。これが、あなたが探しているiPadのNFC対応機種が見つからない、たった一つの、そして絶対的な理由です。

そのため、iPadのNFC設定はどこですか？という問いへの答えは「設定項目そのものが存在しない」、iPadのNFCリーダーはどこにありますか？という問いへの答えは「リーダー機能が内蔵されていない」となります。

iPhoneでは当たり前のように搭載されているため、iPadにも当然あるだろう、と考えてしまうのは無理もありません。しかし、製品の設計思想として、iPadとiPhoneではNFCの扱いに明確な線引きがされているのです。まずはこの動かしようのない事実を受け入れることが、次のステップへ進むための重要な第一歩となります。

2. ではなぜ？iPadにNFC機能が搭載されない3つの理由

では、なぜAppleはiPadにNFCを搭載しないのでしょうか。Appleが公式にその理由を明言しているわけではありませんが、いくつかの有力な理由が考えられます。

一つ目は、利用シーンの想定です。NFCの代表的な利用シーンは、レジでのタッチ決済です。スマートフォンを手軽にかざすのとは違い、大きなiPad本体を決済端末にかざす姿は、あまり現実的とは言えません。Appleは、こうした利用シーンを想定していない可能性が高いでしょう。

二つ目は、技術的・コスト的な制約です。NFCのアンテナは、電波干渉を受けないよう、精密な設計と配置が求められます。金属製の大きな筐体を持つiPadに、安定して動作するNFCアンテナを内蔵するのは、技術的なハードルが高く、製造コストの上昇にも繋がります。

三つ目は、製品間の役割分担、つまりiPhoneとの差別化です。ポータビリティに優れ、常に身につけているiPhoneにNFC決済やタグ読み取りなどの役割を集中させ、iPadはコンテンツ制作や消費といった、より大画面を活かす用途に特化させるという戦略的な棲み分けが考えられます。

これらの理由が複合的に絡み合い、現在のiPadにはNFCが搭載されていない、と考えるのが自然な結論と言えるでしょう。

3. iPadのApple Payは使える？使えない？誤解のカラクリ

iPadにNFCがないと聞くと、ではなぜApple Payの対応機種リストにiPadの名前があるのか、と疑問に思う方もいるでしょう。これが、多くのユーザーを混乱させる最大のポイントです。結論から言うと、iPadでApple Payは使えます。ただし、それはiPhoneのように、コンビニや改札でかざして支払うNFCを使った「店頭決済」のことではありません。

iPadのApple Payが対応しているのは、アプリ内決済や、Safariを使ったウェブサイト上でのオンライン決済です。例えば、対応するショッピングアプリで商品を選ぶ際、支払い方法としてApple Payを選択すれば、Touch IDやFace IDで認証するだけで、クレジットカード情報を入力することなく、スマートに支払いを完了できます。

つまり、iPadのApple Payは、物理的なカード情報を安全に管理し、オンラインでの入力を簡略化するための機能なのです。

「iPadでApple Payが使えない」と感じるのは、NFC決済を想定しているからです。オンライン決済専用の機能だと理解すれば、その便利な価値が見えてくるはずです。

4. 自分のiPadがNFCに対応しているか調べる方法は？

ここまで読んでいただいたあなたには、もうお分かりかと思いますが、この問いへの答えは「調べるまでもなく、どのiPadもNFCには対応していません」となります。しかし、自分の目で確かめないと納得できない、という方もいるかもしれません。また、今後NFCが搭載されたiPadが登場した際に、すぐに見分けられる方法を知っておくのも良いでしょう。

最も簡単な確認方法は、iPhoneと比較することです。iPhoneでは、コントロールセンター（画面右上から下にスワイプ）を開くと、「NFCタグリーダー」というアイコンがあります。これをタップすることで、能動的にNFCタグを読み取ることができます。

一方、iPadのコントロールセンターには、この「NFCタグリーダー」のアイコンは存在しません。また、設定アプリの中を「NFC」というキーワードで検索しても、関連する項目は一切ヒットしません。これらの事実が、iPadがNFC機能を持っていないことの動かぬ証拠となります。お持ちのiPadで一度試していただければ、その仕様を明確にご理解いただけるはずです。

それでもiPadでNFCを使いたい！唯一の解決策とおすすめリーダー

iPadにNFC機能が内蔵されていない。その事実に、少しがっかりしてしまったかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いです。

マイナンバーカードを読み取って確定申告（e-Tax）を行いたい、交通系ICカードの残高をiPadの大画面で管理したい、NFCタグを使った業務システムをiPadで利用したい。そんなあなたの願いを叶える、唯一にして、そして確実な方法が存在します。

それが、「外付けNFCリーダー/ライター」を導入することです。ここでは、iPadに新たな可能性をもたらす、信頼性の高いNFCリーダーを厳選してご紹介します。

あなたのiPadが、これまで不可能だった領域へと踏み出すための、最高のパートナーがきっと見つかります。

1. サンワサプライ ADR-MNICU2：確定申告も安心！マイナンバーカード対応NFCリーダー

iPadの大画面と優れた操作性を、年に一度の大きな仕事、確定申告（e-Tax）に活かせないだろうか。そう考えたことがあるあなたに、まさに最適な一台が、このサンワサプライのADR-MNICU2です。この製品は、公的個人認証サービスに対応しており、マイナンバーカードの読み取りに公式に対応しています。iPad単体では絶対に不可能だった、マイナンバーカードを使ったe-Taxの申請が、このリーダーをUSB-Cポートに接続するだけで、驚くほど簡単に行えるようになります。

もう、申告のためだけにパソコンを起動したり、カードの読み取りエラーに悩まされたりする必要はありません。iPadの直感的なインターフェースで、サクサクと申告作業を進めることができるのです。また、地方公共団体の各種オンライン手続きにも対応しており、その活用範囲は確定申告だけにとどまりません。コンパクトなデザインでありながら、ICカードを置くだけで認識する安定性も魅力。

iPadという最高のツールに、社会的な手続きをこなすための信頼性の高いNFC機能を追加する。このリーダーは、あなたのスマートなライフスタイルを、さらに一段階上のレベルへと引き上げてくれる、賢い投資となるでしょう。

2. ソニー PaSoRi RC-S300/S：定番の信頼性！多様なカードに対応するNFCリーダー

NFCリーダーの世界で、その名を知らない人はいないほどの絶対的な定番。それが、ソニーのPaSoRi（パソリ）です。長年にわたり培われてきた技術と信頼性は、他の追随を許しません。

この最新モデルRC-S300/Sは、これまでのPaSoRiシリーズの優れた互換性を引き継ぎながら、さらに使いやすく進化しました。マイナンバーカードはもちろんのこと、SuicaやPASMOといった交通系ICカード、楽天EdyやWAONなどの電子マネーまで、国内で利用されているほとんどの非接触ICカードに対応しています。

iPadに接続すれば、専用のアプリを使って、交通系ICカードの利用履歴や残高を大画面で一覧表示できます。家計簿アプリと連携させれば、日々の支出管理が驚くほどスムーズになるでしょう。

また、e-TaxやeLTAXといった各種税務申告にももちろん対応。その安定した読み取り性能は、多くのユーザーから高い評価を得ています。

どのリーダーを選べば良いか分からない、とにかく失敗したくない。そんなあなたは、まずこのPaSoRiを選んでおけば間違いありません。日本の非接触ICカード環境を知り尽くしたソニーだからこそ提供できる、最高の安心感と利便性を、ぜひあなたのiPadで体験してください。

3. Identiv uTrust 3700 F：コンパクトで高機能！法人利用も視野に入るNFCリーダー

個人利用だけでなく、ビジネスの現場でiPadとNFCを連携させたい。そんな高度な要求にも応えてくれるのが、Identiv社のuTrust 3700 Fです。

Identivは、セキュリティやID管理の分野で世界的に知られるメーカー。その技術力が、このコンパクトなNFCリーダーに凝縮されています。非常に小型で軽量なため、iPadと共にどこへでも手軽に持ち運ぶことが可能です。

このリーダーの強みは、その高い互換性と拡張性にあります。ISO 14443 A/BやISO 18092といった国際標準規格に準拠し、世界中の多様なNFCタグやカードに対応。勤怠管理システムや、在庫管理システム、会員証認証システムなど、企業が独自に構築したNFCソリューションとiPadを連携させる際の、信頼できるインターフェースとして機能します。

また、開発者向けのSDK（ソフトウェア開発キット）も提供されており、オリジナルのiPadアプリにNFCの読み書き機能を組み込むことも可能です。

コンパクトな筐体に秘められた、プロフェッショナルグレードの性能。このIdentivのNFCリーダーは、あなたのiPadを、単なる情報端末から、ビジネスを加速させるための強力な業務ツールへと変貌させてくれるでしょう。

4. ACS ACR1252U：開発者にも人気！読み書き両対応の高性能NFCリーダー

NFCタグから情報を読み取るだけでなく、iPadを使ってNFCタグに情報を書き込みたい。そんな、よりクリエイティブで専門的な使い方を想定しているあなたには、ACS社のACR1252Uが最高の選択肢となります。

この製品は、NFCの読み取り（リーダー）機能だけでなく、書き込み（ライター）機能も備えた、高性能なモデルです。例えば、イベント会場で、来場者のiPadを使ってNFCリストバンドに情報を登録したり、オフィスの備品管理で、iPadからNFCタグに資産情報を書き込んだりといった、高度な運用が可能になります。

PC/SCおよびCCIDの標準に準拠しており、iPadOSを含む様々なプラットフォームとの高い互換性を実現。ファームウェアのアップグレードにも対応しているため、将来登場する新しいNFC規格にも柔軟に対応できる拡張性を持っています。

その堅牢な作りと安定した性能から、世界中の開発者やシステムインテグレーターに選ばれ続けている実績も、信頼の証と言えるでしょう。

単なる情報の受け手としてだけでなく、情報の発信者としてiPadとNFCを活用したい。このACSの高性能リーダーは、そんなあなたの創造性を刺激し、アイデアを形にするための、最も頼りになるパートナーとなるはずです。

5. エレコム MR-ICA001BK：手軽に始める！シンプル設計のICカードNFCリーダー

難しいことはよく分からないけど、とにかくiPadでマイナンバーカードやICカードを読み取ってみたい。そんなNFC初心者の方に、まず最初の一台としておすすめしたいのが、エレコムのMR-ICA001BKです。

この製品の魅力は、何と言ってもそのシンプルさと分かりやすさにあります。余計な機能を削ぎ落とし、ICカードの読み取りという基本的な機能に特化。ケーブルをiPadに接続し、専用のアプリを立ち上げれば、誰でも直感的に操作を始めることができます。

もちろん、シンプルだからと言って性能に妥協はありません。公的個人認証サービスに対応しているため、マイナンバーカードを使ったe-Taxや各種行政手続きにも安心して利用できます。

カードを置く部分は、ICカードがぴったりと収まる窪みが設けられており、カードがずれて読み取りエラーが起きる、といった小さなストレスを防ぐための配慮もなされています。

複雑な設定や、多くの機能は必要ない。ただ、確実な目的を、手軽に、そして低コストで実現したい。このエレコムのNFCリーダーは、そんなあなたのニーズに、実直に、そして誠実に応えてくれる、最も身近で信頼できる選択肢と言えるでしょう。

まとめ：iPadはNFC非搭載。でも外付けリーダーで可能性は広がる

この記事を通じて、あなたが探し求めていたiPadのNFC対応機種は、残念ながら現時点では存在しない、という事実をご理解いただけたかと思います。

そして、iPadでApple Payが使えるというのは、あくまでオンライン決済での話であり、iPhoneのように店頭でかざして支払うことはできない、という明確な違いも明らかになりました。

この事実に、少しがっかりしたかもしれません。しかし、同時に、新たな可能性への扉が開かれたことにも気づいていただけたはずです。

あなたの次なるアクションプランは、非常にシンプルです。まず、iPadでNFC機能を使って何をしたいのか、その目的を改めて明確にしましょう。それがもし、マイナンバーカードの読み取りや、特定のICカードの管理であるならば、解決策はすぐそこにあります。

あなたのiPadの接続ポート（USB-CかLightningか）を確認し、この記事で紹介したような、信頼できる外付けNFCリーダーの中から、あなたの目的に合った一台を選ぶこと。たったそれだけで、あなたのiPadは、これまで決して踏み入れることのできなかった新しい領域へと進化します。

iPad単体での限界を知り、そしてそれを乗り越えるための賢い解決策を手に入れる。それは、あなたのiPadライフを、より深く、より豊かなものにするための、確かな一歩となるでしょう。