水量約160リットル。悠々と泳ぐ熱帯魚や水草が揺らめく壮大なアクアリウム。90cm水槽が描き出す世界はまさに水中の楽園です。しかし、その美しい世界を維持するためには目に見えない水質という壁を乗り越えなければなりません。その心臓部となるのが「ろ過装置」。もしあなたの90cm水槽に合わないろ過装置を選んでしまえば、楽園は一瞬にして崩壊の危機に瀕します。
この記事はあなたの理想のアクアリウムを実現するための、90cm水槽のろ過装置のおすすめとその最適な選び方を徹底解説するガイドです。上部か外部か、あるいは濾過を強化すべきか。その悩みに明確な答えを示します。
- 90cm水槽における上部・外部など主要なろ過方式のメリットとデメリット
- 金魚や大型魚など飼育する生体に合わせた最強のフィルター選び
- 濾過能力をさらに高める「濾過強化」の具体的な方法
- あなたの水槽を理想の状態に保つ信頼のおすすめろ過装置5選
90cm水槽の心臓部!ろ過方式の種類と最適な選び方

- 定番の安心感。「上部フィルター」のメリットとデメリット
- 美観と静音性。「外部フィルター」のメリットとデメリット
- 補助的な役割?「外掛けフィルター」は90cm水槽に使えるか
- 最強の濾過を目指す。「濾過強化」の具体的なアプローチ
- 生体の種類で選ぶ。金魚や大型魚に最適なろ過装置は?
1. 定番の安心感。「上部フィルター」のメリットとデメリット
古くから多くのアクアリストに愛され続ける上部フィルター。水槽の上に設置する箱型の形状が特徴で、特に90cm水槽においてはその濾過能力の高さとメンテナンスのしやすさから依然として絶大な人気を誇ります。最大のメリットは高い生物ろ過能力と酸素供給能力です。ろ材が常に空気に触れているため、水をきれいにするバクテリアが繁殖しやすく、水を物理的に落下させる構造が水槽内に豊富な酸素を供給します。
また、ろ過槽が水槽の上にあるため、ろ材の交換や掃除といったメンテナンスが腰をかがめることなく楽に行える点も大きな魅力です。一方デメリットとしては、水槽の上に大きな装置が乗るため照明の選択肢が限られることや、水草育成に不可欠なCO2が逃げやすい点が挙げられます。また、水の落下音が気になる場合もあります。メンテナンスの手軽さと高い生物ろ過能力を重視するなら、上部フィルターは非常に優れた選択肢です。
2. 美観と静音性。「外部フィルター」のメリットとデメリット
水槽周りをすっきりと見せ、静かな環境でアクアリウムを楽しみたい。そんな美観と静音性を重視するアクアリストから絶大な支持を得ているのが、外部フィルター(キャニスターフィルター)です。本体を水槽台の中など外部に設置するため、水槽の上や横には給排水パイプ以外何も見えません。これにより水景の美しさを最大限に引き出すことができ、照明の選択や配置も自由自在です。
外部フィルターの最大の強みは、その密閉された構造にあります。大容量のろ過槽に物理ろ材、生物ろ材、化学ろ材を自由に組み合わせてセットでき、あらゆる飼育環境に対応する高い濾過能力を発揮します。また、CO2が逃げにくいため本格的な水草水槽には最適で、作動音も非常に静かです。デメリットは価格が比較的高価であることと、メンテナンスの際に本体を水槽台から取り出す手間がかかる点です。しかし、その静音性とカスタマイズ性の高さは、一度体験すると手放せなくなるほどの魅力を持っています。
3. 補助的な役割?「外掛けフィルター」は90cm水槽に使えるか
手軽で安価な外掛けフィルターは、小型水槽では定番のろ過装置です。では、90cm水槽に使うことはできるのでしょうか。結論から言えば、90cmという大きな水量に対して外掛けフィルター単体をメインのろ過装置として使用するのは、能力的に非常に厳しいと言わざるを得ません。多くの生体を飼育したり、水を汚しやすい魚を飼育したりする場合、あっという間に濾過能力不足に陥ってしまうでしょう。
しかし、外掛けフィルターが90cm水槽で全く役に立たないわけではありません。その真価は、メインフィルターを補助する「サブフィルター」としての役割で発揮されます。例えば、すでに上部フィルターや外部フィルターを設置している水槽でさらなる濾過強化を図りたい場合。あるいは、メインの生物ろ過とは別に活性炭などを使って水の黄ばみを取りたい場合。そんな時に、小型の外掛けフィルターを追加するのは非常に有効な手段です。あくまで主役ではなく、名脇役として考えるのが正しい付き合い方です。
4. 最強の濾過を目指す。「濾過強化」の具体的なアプローチ
より多くの魚を飼いたい、あるいは水の汚れに特に敏感な生体を飼育したい。そんな時、標準的なろ過装置だけでは能力が追いつかないことがあります。そこで重要になるのが「濾過強化」という考え方です。90cm水槽の濾過を強化する最も代表的な方法は、外部フィルターを2台設置することです。これにより、単純にろ過能力が2倍になるだけでなく、片方のフィルターを掃除している間も、もう片方が稼働しているため水質の急変を防げるという大きなメリットがあります。
また、上部フィルターと外部フィルターを併用するという合わせ技も非常に強力です。生物ろ過と酸素供給に優れた上部フィルターと、物理・化学ろ過に優れた外部フィルターが互いの長所を活かし短所を補い合うことで、鉄壁のろ過システムを構築できます。さらに、あえてワンランク上の120cm水槽用のフィルターを使う「オーバーフロー」という考え方もあります。これは、特に水を汚しやすい大型魚や金魚の飼育で効果を発揮します。最強の濾過とは、ただ強力なだけでなく、自分の目指すアクアリウムに合わせてシステムを構築していくことなのです。
5. 生体の種類で選ぶ。金魚や大型魚に最適なろ過装置は?
金魚のろ過器で最強の濾過器は?この問いは、水を汚しやすい生体を飼育する際の永遠のテーマです。金魚やアロワナ、オスカーといった大型魚はフンや餌の食べ残しが多く、水を富栄養化させやすいという共通点があります。これらの魚を長期的に健康に飼育するためには、強力な「生物ろ過」、つまりフンの分解を担うバクテリアの働きをいかに最大化するかが鍵となります。
この観点から最も強力な選択肢となるのが、大容量のろ過槽を持つ上部フィルターです。豊富な酸素を取り込みながら、大量のろ材でバクテリアを繁殖させ、強力にフンを分解します。メンテナンスが容易で常にろ過槽を清潔に保ちやすい点も、フンの多い魚の飼育に向いています。次点の選択肢としては、120cm水槽用の大型外部フィルターが挙げられます。ろ材容量の大きさは上部フィルターに匹敵し、静音性にも優れます。いずれにせよ標準的なスペックよりも、明らかにワンランク上のパワフルなろ過装置を選ぶこと。それが彼らにとっての「最強」の環境を創り出すための絶対条件です。
あなたの水景を輝かせる!おすすめ高性能ろ過装置5選

- エーハイム クラシックフィルター 2217-NEW 50Hz/60Hz
- GEX メガパワー 9012
- GEX グランデ900 上部式フィルター
- コトブキ工芸 パワーボックス V900X
- エーハイム プロフェッショナル4 2273 50Hz/60Hz
1. エーハイム クラシックフィルター 2217-NEW 50Hz/60Hz
アクアリウムの世界で、もし「信頼」という言葉を形にするとしたら、それはこの緑色の筒になるでしょう。ドイツの老舗エーハイムが数十年にわたり作り続けるクラシックフィルターは、そのシンプルな構造と驚異的な耐久性で世界中のアクアリストから神格化されている、まさに「伝説」の外部フィルターです。その中でも90cmから120cm水槽に対応するこの2217モデルは、パワーと容量のバランスに優れたまさに王道中の王道。
最新のフィルターのような呼び水機能や派手なギミックはありません。しかし、それゆえに故障する箇所が極めて少なく、一度設置すれば何年、下手をすれば十年以上も静かに、そして確実にあなたの水槽の水を浄化し続けます。大容量のろ材コンテナが強力な生物ろ過を実現し、一度立ち上がった生態系を長期にわたって安定させる。流行に左右されない本質的な価値と、何ものにも代えがたい安心感。あなたの本格的なアクアリウムライフは、この一台から始まります。
2. GEX メガパワー 9012
外部フィルターはメンテナンスが大変そう。そんな多くの人が抱く不安を、日本のトップメーカーGEXが独自のアイデアで解決しました。このメガパワー9012は、モーター部とろ過槽を完全に分離させ、水中モーターを採用した画期的な外部フィルターです。これにより、フィルターの呼び水という初心者にとって最も難しい作業が一切不要になりました。コンセントを入れればすぐに水が循環を始めます。
メンテナンス時も、ろ過槽だけをワンタッチで取り外して運べるため非常に手軽。5Lという大容量のろ過槽には、性能の異なる4種類のろ材が標準で付属しており、購入したその日から最高のろ過環境をスタートできます。さらに、水槽の横にも設置できる自由度の高さも魅力。使いやすさと高い基本性能を日本のメーカーならではの配慮で両立させたこの一台は、外部フィルターへの最初のステップをこの上なく快適で安心なものにしてくれるでしょう。
3. GEX グランデ900 上部式フィルター
金魚や大型魚を健康的に、そして美しく育て上げたい。そんな特定の目的を持つあなたにとって、これ以上ないほど頼りになる相棒がこのGEXグランデ900です。90cm水槽用の上部フィルターとして長年にわたりベストセラーであり続ける、まさに定番中の定番モデル。その圧倒的なろ過能力は、水を汚しやすい生体の飼育において絶大な効果を発揮します。
広大で深い二段階のろ過槽が大量のろ材を収容し、水をきれいにするバクテリアの巨大なコロニーを形成。フンやアンモニアを強力に分解し、常に魚にとって安全な水質を維持します。また、高い位置から水を落とす構造が水面に大きな波を作り、溶存酸素量を最大化。魚の呼吸を助け、活発な成長を促します。メンテナンスのしやすさも折り紙付き。ろ過槽の蓋を開けるだけで、ろ材の様子が一目瞭然です。パワー、信頼性、そして使いやすさ。そのすべてを高次元で満たした上部フィルターの完成形がここにあります。
4. コトブキ工芸 パワーボックス V900X
優れた基本性能とユーザーフレンドリーな設計。日本の老舗アクアリウムメーカーであるコトブキ工芸が、その実直なモノづくりの精神を注ぎ込んだ信頼の外部フィルターがこのパワーボックスV900Xです。特筆すべきはその簡単なスタートアップ。本体上部のボタンを数回押すだけで、サイフォンの原理を利用して自動的に呼び水が完了します。外部フィルター初心者でも水浸しになる心配なく、スムーズに設置を終えることができるでしょう。
4つのろ材コンテナが付属し、それぞれに特性の異なるろ材をセットすることで、あなたの理想とする水質を追求できます。また、ホースの着脱がワンタッチで可能なバルブタップが付属しているため、メンテナンス時の作業性も抜群。静音性にも定評があり、リビングなどの生活空間に設置してもその作動音が気になることはほとんどありません。アクアリストがフィルターに求めるあらゆる要素を高いレベルで、そしてバランス良く満たした優等生のような一台です。
5. エーハイム プロフェッショナル4 2273 50Hz/60Hz
エーハイムがその長い歴史の中で培ってきた技術のすべてを現代のニーズに合わせて再構築した外部フィルターの最高峰。それが、このプロフェッショナル4シリーズです。定番のクラシックシリーズが信頼性の塊である「質」のエーハイムを体現するなら、この一台は機能性と効率性を極めた「技」のエーハイムと言えるでしょう。その心臓部にはプレフィルター機能が搭載されています。
これにより大きなゴミはメインのろ材に到達する前に最上段のプレフィルターでキャッチされます。日々のメンテナンスは、このプレフィルター部分を洗浄するだけで、メインろ材の掃除頻度を劇的に減らすことが可能です。また、流量調整機能に加え、緊急時に流量をさらに絞れるエクステンダー機能も搭載。ろ材の目詰まりといった不測の事態にも対応します。静音性、省エネ性、そしてメンテナンス性。そのすべてにおいて他の追随を許さない、まさにプロフェッショナルの名にふさわしい性能。最高の水質を最小の手間で実現したい。そんなあなたのための究極の答えです。
まとめ:ろ過装置は、水槽という名の「小さな地球」の心臓
90cm水槽という壮大で美しい水中の世界。その輝きが目に見えないバクテリアたちの働きによって支えられていること、そして、そのバクテリアたちの家となる「ろ過装置」がいかに重要な存在であるか、ご理解いただけたかと思います。それは単なる水を循環させるポンプではありません。あなたの水槽の生命線を維持し、そこに住む生き物たちの命運を握る、まさに「心臓」そのものなのです。
ご自身の理想のアクアリウムをもう一度具体的に想像してみてください。水草が生い茂る静かな森を創りたいのか、それとも元気な金魚が賑やかに泳ぐ池を創りたいのか。その答えが見つかれば、上部フィルターと外部フィルター、どちらの扉を開けるべきか自ずと道は拓けるはずです。最高の心臓部を手に入れ、あなたの描く生命力あふれる「小さな地球」をぜひ完成させてください。