3Dプリンター レジンの種類と選び方！おすすめで造形が変わる

液体の樹脂が光を浴びて、少しずつ形を成していく光造形3Dプリンター。その魔法のようなプロセスは、デジタルデータを驚くほど高精細な現実のオブジェクトへと変えてくれます。

しかし、いざ造形を始めようとすると、多種多様なレジンを前に多くの人が戸惑います。この3dプリンターのレジンの種類こそ、あなたの作品の出来栄えを左右する最も重要な要素です。どの3dプリンターのレジンの種類を選べば、思い描いた通りの強度や質感、そしてディテールを表現できるのか。

この記事では、あなたの創造性を最大限に引き出すための、レジン選びの全てを、分かりやすくガイドします。

その造形、レジンで決まる。目的別に見る3Dプリンターレジンの種類

3Dプリンターの性能がいくら高くても、使うレジンの特性が作りたいものに合っていなければ、そのポテンシャルは決して引き出せません。レジンは単なる材料ではなく、作品の強度、精度、質感、そして後処理の手間まで、造形プロセス全体を決定づける重要なパートナーです。ここでは、全ての基本となるスタンダードなレジンから、後処理の手間を革命的に変える水洗いレジン、そして実用的な強度を持つABSライクレジンまで、それぞれの種類が持つ個性と最適な用途を徹底解説。あなたの目的達成への最短ルートが、ここにあります。

1. 全ての基本「標準レジン」：高精細とコストのバランス

光造形3Dプリンターを始めた人が、まず最初に手に取るのがこの標準レジンです。その最大の魅力は、非常に高い解像度と、比較的安価な値段との優れたバランスにあります。キャラクターフィギュアの繊細な髪の毛や、ミニチュアモデルの微細なディテールも、驚くほどシャープに再現することが可能です。

多くのメーカーから様々なカラーが発売されており、選択肢が豊富なのも特徴。造形後の洗浄には、IPA（イソプロピルアルコール）などの有機溶剤が必要になりますが、最もスタンダードなタイプであるため、インターネット上にも多くの情報があり、初心者でも扱いやすいのが利点です。特別な強度や機能性を求めない、一般的なモデルやフィギュアの造形であれば、この標準レジンが全ての基本となり、最高のコストパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

2. 後処理が革命的に楽「水洗いレジン」のメリットとデメリット

光造形3Dプリンターで最も手間がかかり、そしてハードルが高いのが、造形後の洗浄作業です。標準レジンでは、引火性があり、臭いも強いIPA（イソプロピルアルコール）の扱いが必須でした。その常識を覆したのが、この水洗いレジンです。その名の通り、IPAの代わりに、ただの水道水で未硬化のレジンを洗い流すことができます。

これにより、後処理の安全性が飛躍的に向上し、溶剤の購入コストや管理の手間からも解放されます。しかし、メリットばかりではありません。水洗いレジンのデメリットとして、硬化後の強度が標準レジンに比べてやや劣る傾向があることや、吸湿性が高く、湿度の高い場所に長期間保管すると、ひび割れなどを起こしやすい点が挙げられます。この特性を理解すれば、水洗いレジンはあなたの3Dプリンターライフを、もっと手軽で快適なものへと変えてくれます。

3. ABSライク・タフレジン：実用的なパーツを作るための「強度」を比較

3Dプリンターで作ったものを、ただ飾るだけでなく、実際に使ってみたい。そんなあなたの願いを叶えるのが、強度と靭性に優れたABSライク・タフレジンです。標準レジンは、硬度は高いものの、衝撃に弱く、少しの力でパキッと割れてしまう脆さがあります。

それに対しABSライクレジンは、工業製品で広く使われるABS樹脂のような、粘り強さと耐衝撃性を備えています。ドローンやラジコンのパーツ、工具のグリップ、治具といった、ある程度の負荷がかかる実用的な部品の製作に最適です。さらに靭性を高めたタフレジンは、曲げても折れにくい驚異的な柔軟性を誇ります。これらのエンジニアリング系レジンは、標準レジンより値段は高くなりますが、あなたの創造性を、鑑賞の領域から、実用の領域へと一気に押し上げてくれるでしょう。

4. 未硬化レジンは有害？安全な取り扱いと換気の重要性

3Dプリンターのレジンを扱う上で、最も重要なのが安全への配慮です。光で硬化する前の、液状のUVレジンは、化学物質であり、直接皮膚に触れると、かぶれやアレルギー反応を引き起こす可能性があります。これは有害と言えます。そのため、レジンを取り扱う際は、必ずニトリル手袋や保護メガネを着用し、皮膚や目にレジンが触れないようにすることが絶対条件です。

また、レジンは特有の臭いを発します。この蒸気を長時間吸い込むことは、健康に良いとは言えません。作業を行う部屋は、必ず窓を開けるか、換気扇を回すなどして、十分な換気を行いましょう。硬化後のレジンは、化学的に安定し、毒性はなくなります。正しい知識を持ち、適切な保護具と換気環境を整えること。それが、安全に、そして長くこの素晴らしい趣味を楽しむための、最も大切なルールです。

5. レジンで「型」は作れる？キャスタブルレジンという選択肢

3Dプリンターのレジンを使って、オリジナルのアクセサリーや、金属パーツの原型を作りたい。そんな高度な要求に応えるのが、キャスタブルレジンです。これは、ロストワックス鋳造という、宝飾品や工業部品の製造で使われる伝統的な製法のために、特別に開発されたレジンです。

通常のレジンは、高温で熱すると、燃え尽きずに大量の灰を残してしまいます。しかし、キャスタブルレジンは、石膏などで作った鋳型の中で、ほぼ100%燃焼して気化するという、驚くべき特性を持っています。これにより、非常にクリーンな空洞が鋳型内に残り、そこに溶かした金属を流し込むことで、3Dプリントしたモデルを、そのまま金属パーツとして複製することが可能になります。あなたの創造を、樹脂から金属へと昇華させる、魔法のようなレジンです。

あなたの創造を形に。目的別おすすめ3Dプリンターレジン5選

レジンの種類が、あなたの作品の運命を決めます。ここからは、あなたの頭の中にあるアイデアを、最高の形で現実世界へと召喚するための、具体的で信頼性の高い3Dプリンターレジンを5つ、厳選してご紹介します。世界中のクリエイターから支持される定番のスタンダードレジンから、あなたの作品に驚異的な強度を与えるタフレジンまで。あなたの目的と創造性に完璧に応える、最高のパートナーがこの中に必ず見つかります。

1. ANYCUBIC 水洗いレジン+

3Dプリンターの導入をためらわせる最大の壁、それはIPA（イソプロピルアルコール）を使った面倒で、臭いの強い洗浄作業です。このANYCUBICの水洗いレジン+は、その壁を完全に取り払い、あなたの3Dプリンターライフを、もっと手軽で、もっとクリーンなものへと変革します。もう、換気や火気に神経を尖らせながら、後片付けをする必要はありません。蛇口をひねり、水道水で洗い流すだけ。その手軽さは、一度体験すれば、もう元には戻れないほどの感動です。

さらに、このプラスモデルは、従来の水洗いレジンが抱えていた、強度や精度の問題を大幅に改善。標準レジンに匹敵するほどのシャープなディテールと、安定した造形精度を実現しています。レジンの臭いも大幅に低減されており、家族がいるリビングでの作業も、気兼ねなく行えるでしょう。面倒な後処理から解放され、純粋に、造形の楽しさだけに没頭してください。

2. Siraya Tech Fast ABSライクレジン

あなたが作りたいのは、棚の上で静かに微笑むフィギュアですか。それとも、実際に手に取り、動かし、時には負荷さえも受け止める、実用的なパーツでしょうか。もし後者であるなら、このSiraya TechのFast ABSライクレジンこそが、あなたの要求に完璧に応える答えです。その名の通り、ABS樹脂のような、驚異的な強度と、粘り強さを兼ね備えています。

標準レジンで出力したパーツが、床に落としただけで粉々に砕け散るのに対し、このレジンで作ったパーツは、衝撃を吸収し、簡単には壊れません。ドローンのアーム、工具のハンドル、動かすことを前提とした模型の関節パーツ。あなたのアイデアを、単なる「形」から、意味を持つ「機能」へと進化させます。硬化速度も速く、高精細なディテールも犠牲にしない。プロの設計者や、本物志向のホビイストが、最後に辿り着くレジンが、これです。

3. SK本舗 高靭性水洗いレジン

水洗いレジンの、あの圧倒的な手軽さは捨てがたい。しかし、標準レジンが持つ、あの割れにくい強度も欲しい。そんな、二律背反とも思える、わがままな願い。日本の3Dプリンター用マテリアル専門ブランド、SK本舗が、その答えをここに示しました。この高靭性水洗いレジンは、水道水で洗えるという、水洗いレジンのメリットはそのままに、弱点であった強度と靭性を、劇的に向上させた、まさに次世代のレジンです。

標準的な水洗いレジンで作ったパーツが、曲げるとすぐにパキッと折れてしまうのに対し、このレジンは、ある程度の曲げや衝撃に、粘り強く耐えることができます。これにより、これまで水洗いレジンでは不安だった、スナップフィットのパーツや、ある程度の可動を伴う模型の製作も、安心して行えるようになります。後処理の手軽さと、実用的な強度。その両方を、高いレベルで求める、すべてのクリエイターへ。

4. ELEGOO スタンダードレジン

3Dプリンターレジンの世界における、まさに絶対的な基準。それが、このELEGOOのスタンダードレジンです。世界中の膨大な数のユーザーによって使い込まれ、その安定した品質と、驚くほどのコストパフォーマンスは、もはや疑う余地がありません。あなたが初めて光造形3Dプリンターに挑戦するなら、まずこのレジンから始めることで、失敗のリスクを最小限に抑え、造形の基本を確実に学ぶことができるでしょう。

その真価は、高い流動性と、速い硬化速度にあります。これにより、短時間で、そして安定して、高精細なモデルを出力することが可能です。キャラクターフィギュアの微細なディテールから、建築模型のシャープなエッジまで、あなたのイメージを忠実に再現します。多くのプリンターメーカーが、自社製品のテストにこのレジンを使用しているという事実が、その信頼性を何よりも雄弁に物語っています。全てのクリエイターの、全ての基本となる一本です。

5. Phrozen 8K レジン

あなたの持つ3Dプリンターが、最新の8K解像度に対応した、高性能なモデルであるならば、その性能を100%引き出すためには、レジンもまた、8Kの名にふさわしいものでなければなりません。このPhrozenの8K レジンは、まさにそのために開発された、超高解像度プリンターのための、究極のパートナーです。

一般的なレジンでは潰れてしまうような、キャラクターの瞳の中のハイライト、鎧に刻まれた微細な紋様、指先の微かな表情。このレジンは、そんな、これまで表現不可能だった領域のディテールまでも、驚くほど鮮明に、そしてシャープに描き出します。適度な粘度と、安定した化学特性が、積層痕を感じさせない、滑らかな表面品質を実現。あなたの作品を、単なる造形物から、息を呑むような芸術品へと昇華させる。そのための最後のワンピースが、このレジンです。

まとめ：最適なレジン選びが、あなたの造形を次のレベルへ

3Dプリンターの世界に広がる、多種多様なレジンの種類。それは、決してあなたを混乱させるためのものではなく、あなたの頭の中にある、あらゆるアイデアを、最高の形で現実世界に召喚するための、無限の可能性そのものです。鑑賞用のフィギュアには、ディテールを極めるためのレジンを。実際に使う道具には、強度と耐久性を与えるためのレジンを。その選択肢が、あなたの手の中にあります。

あなたの次なるアクションは、ご自身が、次に何を作りたいのかを、具体的に想像してみることです。それは、息を呑むほど美しい芸術品ですか、それとも、日々の生活を便利にする実用的なパーツでしょうか。その答えが、あなたが進むべき道、そして、選ぶべきレジンを、明確に指し示してくれるはずです。この記事で紹介したレジンを参考に、あなたの創造性に、最適な物質を与えてください。

あなたのデジタルデータが、完璧な特性を持ったマテリアルと出会う時、そこに、これまで誰も見たことのない、新しい価値が生まれます。その感動的な瞬間を、ぜひ、あなた自身の手で体験してください。